「 王様と白い鳥 」
クリスマス展につるを使った作品を展示しました。
実家の山で母が採って来たものをぐるぐるっとしました。
そして、なんだか白い鳥を置きたくて作りました。
そしたら、白い鳥の物語を作ってしまいました。
王様と白い鳥
王様の白い鳥は飛べません。美しい声で鳴くこともありません。ただ、王様の近くでじっとして、いつも少し微笑んでいるだけです。
王様のまわりにはいつもたくさんの人がいたけれど、本当は一人が好きでした。そんな王様は白い鳥といる時間が一番好きでした。白い鳥が歌わないかわりに王様がオカリナを吹きました。白い鳥はうれしそうに体を揺すります。忙しい王様の唯一の安らぎの時間でした。
ある日、白い鳥は姿を消しました。
家来の一人が白い鳥が飛んでいくのを見たと言いました。飛べないはずの白い鳥、王様は信じられませんでした。
たくさんの家来が白い鳥を探しましたが、見つかりませんでした。
王様は決意しました。一人で白い鳥を探しに行こうと。今まで、一人ではお城の外に出たことはありませんでした。しかし、一人で探さなければ、白い鳥は見つからない気がしたのです。
誰にも告げずに、持ち物はオカリナだけで、こっそりとお城を抜け出しました。
森に入り、空を見上げました。白い鳥はいません。木と木の間から青い空と白い雲が見えました。雲が鳥の形に見えました。ずっとずっと見ていると、雲は形を変えながら流れて行きました。
王様は涙を流しました。空を眺めることを、雲は流れているということを、ずっと忘れていた自分に気がついたからです。ゆっくりゆっくり流れる雲をずっと眺めていました。
そして王様はオカリナを吹きました。とてもやさしい音色でした。
幾日も探しましたが、白い鳥は見つかりませんでした。けれど、森中を歩いた王様はいろんなことに気づくことができました。樹木の匂い、小さな花、鳥の声、様々な虫や動物たち、かわいいきのこ。自然のやさしさに心が癒されました。
それから王様はお城に戻り、やさしい国を作るためにがんばりました。
そして、どんなに忙しくても、空を眺めてときどきオカリナを吹きました。
白い鳥は、また、空を眺めることを忘れてしまっただれかのところに現れます。
おわり
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